世界中で愛される発酵食品
発酵とは、微生物の働きによって食物などが変化することを指しています。その変化により生まれた物質が、人間にとって良いものであれば「発酵」であり、悪いものであれば「腐敗」となります。
発酵によるメリットは、まずは旨みが増すということ。さらに、栄養価も高めてくれて、そのうえ発酵の過程で生み出される酸やアルコール成分によって保存性が高まります。豊富に採れる食材を賢く保存し、長くおいしく食していくために、古来から受け継がれた知恵が今の暮らしにも生きています。
発酵食品にどんなものがあるかといえば…、たとえば日本では漬物や味噌や納豆、麹などが発酵食品として親しみがあります。長野県でいえば野沢菜漬けが知られています。韓国を代表する発酵食品はなんといってもキムチ。ザーサイは中国の発酵食品です。ヨーロッパではチーズをはじめヨーグルトやピクルス、生ハムも発酵食品。スウェーデンの塩蔵ニシン・シュールストレミングは世界で最も匂いの強い発酵食品として知られています。このように世界各国に、それぞれの文化を反映した発酵食品があります。
発酵食品のおいしさを支えるものは?
発酵食品のおいしさは微生物の営みによって生み出されたものです。微生物とひと口に言ってもさまざまで、大きく「カビ類」「酵母類」「細菌類」の3つに分かれます。
カビ類は、日本の国菌である麹菌のほか、青カビ、白カビなどがあります。青カビはブルーチーズ、白カビはカマンベールチーズに関係してきます。
酵母類はビールやワイン、日本酒、パンなどのをつくるために必要です。細菌はヨーグルトやチーズ、キムチをつくる乳酸菌、納豆をつくる納豆菌、酢をつくる酢酸菌などが有名です。
ひとつの微生物だけではなく、複数が作用する食品も多いです。たとえば、日本酒は酵母、カビ(麹菌)、細菌(乳酸菌)の3種類を使って生み出される発酵食品です。
カビや菌などと聞くと食品にとってよくないのではと思ってしまうかもしれませんが、それこそが「おいしい」を生み出す力なのです。

チーズの発酵のしくみ
チーズも、さまざまな微生物の働きで作られています。【乳酸菌】でつくられるチーズは、乳酸菌が乳糖を分解して乳酸が生まれ、それがミルクを固めるもととなります。モッツァレラチーズやパルミジャーノなどが、それにあたります。【乳酸菌とカビ類】でつくられるチーズは、白カビのカマンベール、青かびのロックフォール、塩水やアルコールで表面を洗ってつくるウオッシュなどがあります。
ここまでに記したチーズはナチュラルチーズです。ナチュラルチーズは微生物や発酵で生まれた酵素が生きているので、チーズができあがったあとも熟成が進み、その風味の変化も楽しめます。チーズにはもうひとつ、ナチュラルチーズを溶かして乳化剤などで再び形づくるプロセスチーズがあります。加熱して発酵を止めているので、風味が安定していて保存性もより高く流通させやすいのが特徴です。発酵は止まりますが、栄養分はそのままに残り続けています。また、役割を終えた乳酸菌も、腸内の免疫細胞を刺激することが近年の研究でわかっています。
「発酵×発酵」は間違いなくおいしい
微生物の働きでおいしくなる発酵食品、そしてチーズ。単体でもおいしいですが、その旨みを掛け合わせた「発酵×発酵」の楽しみもあります。たとえば、チーズといぶりがっこ(燻製した大根を糠漬けにした秋田の郷土食)という組み合わせは、おつまみとして人気です。長野県の大信州酒造の純米大吟醸の酒粕にアトリエドフロマージュのブルーチーズ・翡翠を漬け込む「大信州酒粕ブルー」は濃厚な味わいが魅力です。
当サイト「with Cheese 諏訪角チーズ手帖」では、チーズ×糠漬けのご案内もしています。ご家庭の「発酵×発酵」の参考にぜひご覧ください。


